心臓にも酸素が必要です
心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしています。
力強く拍動をして、全身に勢いよく血液を送っているからこそ、私たちは生命を維持することができます。
それでは心臓はどのようにエネルギーを得ているのでしょうか?
人の心臓には「冠動脈」があり、心臓の外側を覆うように走行しています。
2本の左冠動脈と1本の右冠動脈、合計3本によって、心臓全体に酸素と栄養が送られています。
その冠動脈が何らかの原因で狭くなり、充分な血液が送られなくなることを狭心症、完全に閉塞して心筋が壊死することを心筋梗塞と呼びます。
狭心症や心筋梗塞は激しい痛みを伴うばかりではなく、命を脅かす重篤な疾患です。
これら虚血性心疾患の患者数は2017年で72万人と推計され、また毎年7万人近くの方が亡くなっています。
その発症には高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの生活習慣が深くかかわっています。
日頃の生活習慣に気を配ることで、虚血性心疾患を予防することが出来れば、その後の人生が大きく変わる可能性があります。
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目次[▼表示]
このような方は要注意!
- 高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙に複数当てはまる
- 最近軽い運動で胸が痛くなる
- 安静時にも胸が締め付けられることがある
- 若くして心筋梗塞になった家族がいる
狭心症・心筋梗塞の症状
心臓を栄養する冠動脈が狭窄すると、心臓を動かすのに必要な酸素や糖分が不足し、人は胸痛を感じます。
胸痛では胸が締め付けられるような痛み、圧迫感、不快感を覚え、肩や背中、顎に痛みが広がり、息苦しさや冷や汗も伴います。
おもに運動などで心臓に負担がかかると出現します。
持続時間は長くても15分程度で、安静にしていると消失しますが、心筋梗塞に至ると安静にしても改善せず、20分以上持続します。
狭心症が心筋梗塞に進み、心筋が壊死すると、さまざまな合併症が出現します。
心臓は電気の刺激が規則正しく伝わることで、リズム良く収縮拡張を繰り返しますが、その働きが阻害されることで不整脈が出現します。
不整脈には治療の不要なものから、適切に治療しないと命に関わるものまであります。
壊死した心筋は脆弱になるため、心臓の弁がゆるんでしまう弁膜症や、心臓の壁がこぶ状に膨らむ心室瘤、壁が破れてしまう心破裂に至る場合があります。
また、さまざまな合併症の結果、心臓の働きが低下して、全身に血液が充分送れなくなる心不全に至ることもあります。
そのため、狭心症から心筋梗塞への進展を予防し、心筋梗塞に至った場合は迅速に治療することが重要です。
狭心症はその原因によっていくつかに分類されます
メカニズムからの分類 動脈硬化と冠攣縮
冠動脈が狭窄する原因で多いのは動脈硬化によるものです。
通常であればスベスベと滑らかな血管の壁が動脈硬化で硬くなり、脂肪や白血球、血小板を含むコブ(プラーク)を形成することで、冠動脈が狭くなります。
狭窄した冠動脈は運動などの際に充分な血液を送ることができずに、狭心症を発症します。
このタイプは労作性狭心症とも言われます。
また、プラークに傷がつくことで急速に狭窄が進行し閉塞することがあり、心筋梗塞へと進展します。
冠動脈が何らかの原因で過剰に収縮・けいれんすることがあり、それにより狭心症となることを冠攣縮性狭心症と呼びます。
このタイプは夜間や早朝、未明の安静時・就寝時や、飲酒・喫煙後に多く発症します。
冠攣縮が収まると症状は改善しますが、一部は心筋梗塞に進展することがあります。
臨床症状からの分類 “安定”か“不安定”か
狭心症はその経過から安定狭心症と不安定狭心症に分けられます。
その言葉通り、長期に亘って同じような胸痛発作の頻度、程度、持続時間であれば安定狭心症とされます。
一方で新規に発生した胸痛、頻度・程度が増悪する胸痛、安静時胸痛などの場合に不安定狭心症と言われ、その後心筋梗塞に進む危険性が高い狭心症と判断されます。
不安定狭心症と心筋梗塞を併せて急性冠症候群と呼び、これは心血管死に至る可能性があるため、早急な治療が必要です。
狭心症・心筋梗塞の予防方法について
日常生活の中で気を付ける事
狭心症や心筋梗塞は動脈硬化が原因の一つなので、日々の生活習慣が発症に大きな影響を与えています。
以下のような点に気を付けることで、発症、重症化、再発を減らすことができます。
・食生活
高血圧、脂質異常症、糖尿病は動脈硬化を促進するため、適正な食事量とし、塩分の摂りすぎには注意しましょう。
三大栄養素である糖質、脂質、蛋白質以外にもビタミン、ミネラル、食物繊維を含むバランスの良い食事を心がけます。
また抗酸化物質と言われるビタミンE、ビタミンC、βカロチン、ポリフェノールなどは動脈硬化性疾患の予防に効果があるとされていて、それらを含む野菜、果物、お茶などの摂取がすすめられます。
・適度な運動
日常生活や仕事で活発に体を動かすことが冠動脈疾患の発生率、死亡率を減らすとわかっています。
まずは身体の健康・安全を確保したうえで、ウォーキングやサイクリングなど軽めの運動を30分週3回行います。
運動習慣の確保が難しい場合は、普段よりも1日10分長く歩く、階段を使うといったことから始めましょう。
バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、適正な体重を維持することが動脈硬化の進行を抑制します。
・禁煙
喫煙は血管内皮を障害し、少量でも心筋梗塞の発症リスクを上昇させます。
また、非喫煙者であっても受動喫煙によって同様に疾患発症リスクが上昇します。
一方で、禁煙することでそのリスクが低下することも分かっているため、喫煙歴や持病に関わらず禁煙が推奨されます。
・お酒の飲みすぎは控える
アルコールを過剰に摂取することで血圧が上昇するため、飲みすぎには注意が必要です。
適度な飲酒量とは男性では純エタノール換算で20g(ビール500ml、日本酒1合)、女性ではその1/2~2/3程度と考えられています。
ただし、冠攣縮性狭心症は飲酒で誘発されることがあるので、その場合はより少量にするか、時には禁酒が必要となります。
・ストレスの多い職場
職業上のストレスが動脈硬化性疾患の発生に関係していることがわかっています。
特に仕事内容に対する要求が高い場合や、自分で仕事をコントロールできない場合において精神的緊張が高まり、健康問題が生じやすくなります。
職場において上司・同僚の支援がない、長時間労働、不安定な仕事などがストレスの要因となりますが、これらは個人での解決が難しい場合があり、職場全体で取り組む必要があります。
狭心症・心筋梗塞に対するアプローチ
胸の痛みは命に係わる危険なサインの場合があります。
経験したことのない激しい胸痛や、冷や汗を伴い、意識・呼吸状態が悪いような場合はためらわず救急車を呼ぶ必要がありますが、短時間の胸痛や軽度の違和感であっても、一度は医療機関を受診することをおすすめします。
胸痛の方が来院された場合は、痛みの程度、持続時間などを確認し、身体診察や心電図、レントゲン、採血などの検査を迅速に行います。
その結果、不安定狭心症や心筋梗塞が疑われた場合は、急ぎ高次医療機関へ搬送します。
安定狭心症や原因が特定できない胸痛の場合は、以下のような検査を行い、さらに精密な検査が必要と判断されれば専門病院に紹介します。
・心臓超音波検査
心臓に超音波をあて、その反響を画像化することで、心臓の動きや形態の異常を見つけることができます。
心筋梗塞で心筋が壊死するとその部位の動きが悪くなります。
・運動負荷心電図
運動という負荷を与えた状態での心電図変化を確認します。
安静時の心電図で所見がない労作性狭心症などを疑った場合に行います。
・ホルター心電図
小型の心電図を24時間装着し、狭心症発作や不整脈の有無を調べます。
狭心症や心筋梗塞は日頃の生活習慣によって、発症や重症化を予防することが充分に可能です。
そのためには生活習慣を見直し、市町村や会社の健康診断、定期的な医療機関受診を通して自分の健康状態を把握し、疾患の早期発見・治療を心がけることが大事になります。
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